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借地借家トラブル

建物買取請求・造作買取請求とは?

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建物買取請求・造作買取請求とはなんですか?

建物買取請求とは、借地契約が終了する際に、借主が貸主に対して、地上の建物を買い取ってほしいと請求することです。

造作買取請求とは、借家契約が終了する際に、借主が貸主に対して、借家に取り付けた設備を買い取ってほしいと請求することです。

借主が投下した資金の回収を図るとともに、建物の取り壊しや造作の取り外しによる社会経済上の損失を防止するために、法律上、借主に建物買取請求権や造作買取請求権という権利が認められています。

建物買取請求権とは

まずは、建物買取請求権とは何かについて解説します。

建物買取請求権の定義

建物買取請求権を解説する弁護士建物買取請求権とは、借地権について、存続期間が満了した場合に契約の更新がないときに、土地の借主が、貸主に対して、借地上の建物を時価で買い取るように請求する権利のことをいいます(借地借家法13条)。

また、借地上の建物等が譲渡された場合において、貸主が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、建物等の譲受人が、貸主に対して、借地上の建物を時価で買い取るように請求できます。この権利のことを「第三者の建物買取請求権」といいます(借地借家法14条)。

建物買取請求権が認められた趣旨

本来なら、建物を所有する目的で土地を借りていた場合、賃貸借契約が終了すれば借主は原状回復義務の一環として建物を収去してから土地を明け渡す義務を負うはずです。

ところが、いかなる場合にも建物収去を義務づけると、建物を建築した土地の借主がかけた費用を回収できないという不利益を被りますし、まだ住める建物を取り壊してしまうと、社会経済上の損失といえます。

そこで、建物を築造した賃借人に投下資本の回収を図らせ、建物の取り壊しによる社会経済上の損失を防ぐために建物買取請求権が認められているのです。

建物買取請求権を行使できる要件

建物買取請求権を行使できるのは、以下の3つの要件をすべて満たす場合です。

ただし、建物買取請求権は、誠実な借地人を保護するための制度と考えられているため、判例上、地代の滞納など借主の債務不履行により土地の賃貸借契約を解除された場合には、建物買取請求権を行使することは認められていません。

建物買取請求権の行使による効果

建物買取請求権を行使すると、土地の貸主との間で建物の売買契約が成立したのと同一の効果が生じます。このような効果が生じる請求権のことを、「形成権」といいます。

具体的には、建物所有権は土地の貸主に移転し、貸主は建物代金の支払い義務を負い、一方、建物を建築した土地の借主は、建物の引き渡し義務と所有権移転登記義務を負うことになります。

したがって、土地の借主は貸主から建物の代金の支払いを受けるまでは、建物の明け渡しを拒むことができるようになり、その反射的効果として敷地(借地)の明け渡しも拒むことが判例上認められています。

ただし、敷地の明け渡しを拒むことができても、全くの無償で利用できるわけではありません。その敷地を利用している間は賃料相当額を不当利得として支払う必要があります。

造作買取請求権とは

次に、造作買取請求権について解説します。

造作とは

造作(ぞうさく)とは、建物の価値を高めるために設置された物で、建物から取り払えるものの、取り払ってしまうと価値が減少してしまうようなものをいいます。

具体例としては、畳や建具、エアコン、台所のガス設備、水洗便所、シャワー設備などが挙げられます。

一方で、家具や家電など容易に持ち出せるものや、特定の事業に用いる特殊な看板や装飾のように、一般的に建物自体の便宜にならないものは、造作には該当しません。

造作の所有権は、造作を設置した建物の借主にあります。

造作買取請求権の定義

造作買取請求権とは、借主が貸主の同意を得て造作を設置した場合、建物賃貸借が終了する際、貸主に対して、その造作を時価にて買い取るよう請求できる権利のことです(借地借家法33条)。

造作買取請求権が認められた趣旨

本来であれば、建物を借りて使用していた場合は、賃貸借契約が終了すれば借主は原状回復の一環として造作を収去してから建物を明け渡す義務を負うはずです。

しかし、いかなる場合にも造作の収去を義務づけると、造作を取り付けた借主がかけた費用を回収できないという不利益を被りますし、取り外すことによって造作や建物の社会的経済的価値が減少してしまうこともあります。

そこで、契約終了時に造作に残存する価値を借主が回収するとともに、造作を建物から取り去ることによる建物や造作の社会的経済的価値の減少を防ぐことを目的に、造作買取請求権が定められたのです。

造作買取請求権の行使による効果

造作買取請求権も建物買取請求権と同様に形成権であり、行使によって建物の貸主との間で売買契約が成立したのと同一の効果が生じます。具体的には、造作の所有権は建物の貸主に移転し、貸主は代金の支払い義務を負うことになります。

それにより、建物の借主は同時履行の抗弁権または留置権により、貸主が造作の代金を支払うまで造作の引き渡しを拒絶できますが、造作代金の未払いを理由として建物を留置し、または同時履行の抗弁権を行使して建物の明渡しを拒むことはできないというのが判例上の取り扱いです。

造作買取請求権は特約による排除が可能

借家人と賃貸人は双方合意の上で契約上、造作買取請求権を放棄する特約を結ぶことも可能です。

実際、居住用・事業用を問わず、一般的な建物賃貸借契約では、次のような特約条項が盛り込まれていることがほとんどです。

「本契約が終了した際、乙(借主)は甲(貸主)に対し、名目のいかんを問わず造作買取請求権を行使することができない。また、乙は自らの費用で原状回復を行わなければならない。」

このような特約がある場合、借主は退去時に造作買取請求権を行使できません。

これに対して、建物買取請求権については、これを排除するなど借地権者に不利な特約は無効とされている点(借地借家法16条)で異なります。

建物買取請求権と造作買取請求権の違い

建物買取請求権と造作買取請求権は、名前は似ていますが異なるものですので、混同しないように両者の違いをまとめておきます。

建物買取請求権 造作買取請求権
対象 借地上の建物 建物に取り付けられた設備
法律関係 土地の賃貸借(借地関係) 建物の賃貸借(借家関係)
根拠条文 借地借家法13条・14条 借地借家法33条
権利の性質 形成権(意思表示のみで効力あり) 形成権(意思表示のみで効力あり)
債務不履行時の行使 不可 不可
特約での排除 不可(強行規定) 可能(任意規定)

貸主(オーナー側)が注意すべきポイント

不動産のオーナー(地主・家主)が借主とのトラブルを防ぐためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

建物の「時価」を適正に評価する

土地の貸主は、原則として借地契約の終了時に建物買取請求に応じる義務があります。とはいえ、借主から提示された金額をそのまま受け入れる必要はありません。建物の老朽化や不具合を指摘するなどして、時価を適正に評価することが重要です。

造作買取請求権の「排除特約」を必ず設ける

建物を貸し出す際は、賃貸借契約書に「造作買取請求権を行使しない旨」および「原状回復義務」を明確に記載してください。これを怠ると、退去時に借主が取り付けた設備の買い取りを求められ、思わぬ金銭的負担が生じるリスクがあります。

造作取り付けの承諾時には「書面」を残す

借主から「エアコンを設置したい」「内装を改修したい」と求められた場合、単に口頭で許可するのではなく、「退去時は撤去すること(または造作買取請求権を放棄すること)」を前提とした承諾書を取り交わしておくと安心です。

借主(テナント・住民側)が注意すべきポイント

土地や建物を借りる側が、貸主とのトラブルを防ぐために注意すべきポイントは、以下のとおりです。

賃料滞納などの債務不履行をしない

地代や家賃を滞納して契約を解除されると、建物買取請求権も造作買取請求権も行使できなくなります。投下した資金を無駄にしないためにも、契約上の義務は遵守しなければなりません。

契約締結時に特約の有無を確認する

建物を借りる際には、賃貸借契約書に「造作買取請求放棄」の特約条項があるかを必ず確認しましょう。特に事業用のテナント契約において、内装工事に多額の費用をかける場合は要注意です。多くの場合は特約が入っていますが、事前に交渉できる余地がないかも検討してみましょう。

造作を取り付ける際は必ず貸主の同意を得る

造作は、あらかじめ賃貸人の同意を得て付加したものでなければ買取請求の対象外となります。そもそも、ほとんどの場合は賃貸借契約により、借主が無断で物件を改造・改修することが禁止されていることにも注意が必要です。

退去時のトラブルは弁護士へご相談を

建物買取請求権と造作買取請求権はともに形成権であり、借主の意思表示のみで効力が生じますが、「請求権行使の要件」や「金額の評価」、「特約の有効性」などをめぐって争いになりやすいのが実情です。

退去時にトラブルが発生した場合は、感情的に対立せず、法律や判例に則り適正な解決方法を検討していきましょう。その際は、借地借家トラブル解決のプロである鎌倉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

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