建替え・増改築の承諾料の相場はどれくらいなのでしょうか?
承諾料の額は、工事の規模や程度など個別の事情に応じて異なりますが、おおよその相場は以下のようになっています。
ただし、承諾料が不要のケースもあるので注意しましょう。
建替承諾料・増改築承諾料とは、借地上の建物を借主が建て替えたり増改築を行ったりする際に、地主に承諾してもらうための対価として支払うお金のことです。
借主に承諾料の支払いを義務づける明確な法律の規定はありませんが、実務上の慣習として借主から地主に対する承諾料の支払いが行われており、事実上の相場が形成されています。
承諾料について考える前に、そもそも借地上の建物を建替え・増改築する際に地主の承諾は必要かという問題があります。
以下の3つのケースでは、地主の承諾が必要です。
借地借家法上、借主が建替えや増改築を行うために地主の承諾を要するという規定はありません。
しかし、実務上は、借地契約の際に、増改築禁止の特約が定められることが多いです。借地契約書に増改築禁止の特約が盛り込まれている場合は、契約上の義務として、借主が建替えや増改築を行う際には、地主の承諾を得ることが必要となります。
建替えや増改築によって借地条件を変更する必要性が生じる場合は、借主が一方的に契約条件を変更することはできないため、地主の承諾が必要となります。
例えば、旧借地法が適用される借地契約で、木造家屋をRC(鉄筋コンクリート)造に建て替える場合は、建物の所有目的が「非堅固建物の所有」から「堅固建物の所有」に変わるため、一般的には借地条件の変更を伴うことになり、地主の承諾を得なければなりません。
借地契約が1度でも更新された後に建替えを行う場合は、増改築禁止の特約がなくても、地主の承諾が必要です。更新後に無断で「残存期間を超えて存続すべき建物」へ建て替えた場合は、借地借家法8条2項に基づき、地主から借地契約の解約申入れ(地上権の場合は地上権消滅請求)を受け、申入れの日から3か月の経過により借地権が消滅するおそれがあることに注意が必要です(同条3項)。
なお、当初の契約期間中に「残存期間を超えて存続すべき建物」へ建て替える場合は、地主に通知した後、2ヶ月間異議が出なければ、地主が承諾したものとみなされます(借地借家法7条2項)。
ただし、ここで説明した借地借家法7条2項・8条・18条(後述する更新後の再築許可の借地非訟)の規定は、借地借家法の施行日である平成4年8月1日以後に設定された借地権にのみ適用され、それより前に設定された借地権(いわゆる旧法借地)には適用されません(借地借家法附則7条・11条)。旧法借地については、旧借地法7条により、地主が遅滞なく異議を述べなかったときは借地権の存続期間が延長されるという別のルールが適用されますので、契約がいつ設定されたかを必ず確認してください。
借地契約に増改築禁止の特約がなく、かつ、当初の契約期間内に建替えや増改築を行う場合は、地主の承諾は不要です。ただし、実務上、増改築禁止の特約がないケースはまれです。
また、雨漏りの修繕や壁のひび割れ修理、クロスの張替え、階段への手すりの設置など、建物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根など)の変更を伴わない軽微な修繕や改築は、借地権者による通常の使用の範囲内(建物の保存行為)と考えられるため、地主の承諾は不要です。
ただし、地主とのトラブルを回避するためには、基本的に工事前に地主に連絡し、許可を得ることが望ましいといえます。承諾を要するケースであっても、地主との関係が良好であれば、合意により承諾料の支払いを免除してもらえる可能性もあります。
建替え・増改築承諾料の額は、一般的に「その土地の更地価格の○%」という計算方法で算出されます。
ここでは、承諾料の一般的な相場をご紹介しますが、実際には土地の利用状況や建物の経済的価値など個別の事情や、地主の意向など、さまざまな事情により変動することにご注意ください。
建物の一部だけの、小規模な改築であれば、更地価格の1~3%程度が相場となります。
リフォームなどで、床面積の大幅な増加を伴わない場合などが該当します。
建物を全面的に改築したり、建て替えたりする場合は、更地価格の3~5%程度が相場です。
この幅の中でも、木造から木造への建替えなど、既存建物と同種類・同規模の建替え・増改築にとどまる場合は、下限の3%程度が目安とされます。
しかし、床面積が大幅に増加する場合や、用途変更を伴う場合などでは承諾料が上がり、更地価格の4~5%程度が目安となってきます。二世帯住宅に建て替えたり、居住用から賃貸用に建て替えるなどして、建物の利便性や収益性が大きく上がる場合は、上限の5%程度が目安とされやすくなります。
木造(非堅固建物)からRC(鉄筋コンクリート)造へ建て替える場合は、借地権の存続期間が大幅に長期化しやすいことから承諾料も高額化しやすく、更地価格の10%程度が相場となっています。
この場合、借地条件の変更を伴うことから、通常の建替承諾料(3~5%程度)と条件変更承諾料(10%程度)を併せて請求され、合計で更地価格の13~15%程度の承諾料を請求されることもあります。
ここでは、実際に建替え・増改築承諾料の額を計算してみましょう。
一例として、借地の更地価格が3,000万円だとして、旧木造住宅を解体し、新しくRC(鉄筋コンクリート)造の賃貸住宅へ建替えを予定しているケースがあったとします。
「更地価格の10%」で承諾料の額を計算すると、300万円となります。
3,000万円×10%=300万円
通常の建替承諾料と条件変更承諾料とを併せて、「更地価格の15%」を請求された場合は、承諾料は450万円となります。
3,000万円×15%=450万円
ただし、これらの金額は、あくまでもひとつの目安です。地主との交渉により、減額できる場合もあります。
実際に承諾料の額を決めるためには地主との交渉が必要ですが、地主の承諾が得られないケースや、高額な承諾料を請求されるケースなども、よく見受けられます。そんなときでも感情的に対立することは避けて、以下のように対処していきましょう。
まずは、建替えや増改築の必要性(老朽化による耐震性の不備、家族構成の変化など)を説明し、相場に基づいた根拠ある金額を提示して交渉を行いましょう。
その際には、提示した金額が適正なものであることを裏付ける客観的なデータを示すことが重要です。具体的には、路線価などから算出したデータや、過去の裁判例、不動産鑑定評価書などが挙げられます。
当事者同士で交渉すると感情的に対立しやすいため、第三者を介して交渉することも検討するとよいでしょう。
その際には、不動産会社や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
専門家が地主に対して、法的根拠を示して論理的に説明することにより、地主の態度が軟化し、相場の範囲内の承諾料で合意することが期待できます。
地主との話し合いで解決できない場合には、裁判所の「借地非訟」という法的手続きによって解決を図ることが可能です。
借地非訟を申し立てることにより、増改築や、借地契約更新後の建物再築、借地条件の変更などについて、一定の条件の下に、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることができます。
地主に支払うべき承諾料の額についても、裁判所から鑑定委員会の意見を聴いた上で決定します。裁判所の許可を得て、裁判所が決定した承諾料を支払えば、地主の承諾がなくても正当に建替え・増改築を行うことが可能となります。
事前に地主の承諾が得られない場合でも、無断で建替えや増改築を行ってはいけません。
無断で建替えや増改築をしたことによって地主との信頼関係が破壊された場合には、借地契約を解除される可能性があります。その場合には、建物を収去して土地を明け渡さなければなりません。その費用は自己負担です。
その上に、損害賠償請求をされるおそれもあります。
地主との交渉がスムーズに進まない場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士に相談すれば、まず、具体的な状況や周辺相場、過去の裁判例などから適正な承諾料の金額を算出してもらえます。
地主との交渉は、弁護士に依頼することができます。弁護士は代理人として交渉役を全面的に引き受けてくれるので、自分で地主と直接やりとりする必要がなくなります。これにより、労力や精神的な負担が大きく軽減されます。弁護士は法的観点から論理的に地主と交渉してくれるので、適正な承諾料での合意が期待できます。
地主との交渉が決裂した場合でも、弁護士が借地非訟の手続きを迅速に進めてくれます。複雑な手続きは弁護士が代行してくれるので、自分で難しいことを調べる必要はありません。
建物の建替え・増改築について地主と交渉するときは、どうしても地主の立場が強くなりがちです。的確な主張をして対等に交渉できなければ、承諾してもらえたとしても不当に高額の承諾料を支払わされることにもなりかねません。
鎌倉総合法律事務所では、経験豊富な弁護士が現在の状況と工事の規模や内容を的確に把握した上で、裁判所における今までの傾向を考慮しつつ、最善となる方法をご提案いたします。
地主との交渉や法的手続きについても、全面的にサポートいたします。
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弁護士が直接事情や状況を伺います。ご相談の際には内容をまとめたメモや資料などをお持ちになる事をお勧めいたします。相談のみで解決した場合はこれで終了となります。

相談時に、事件をお受けする場合の報酬や経費などのご説明もいたします。その上でご希望の場合は依頼をしてください。持ち帰ってご検討いただいても構いません。


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