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建築トラブル

瑕疵を他の業者に修繕してもらうことはできる?

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自宅の新築工事やリフォーム工事を工務店にお願いしてやってもらったものの、完成して引き渡しを受けてみると、工事に不具合(瑕疵)があって修繕してもらう必要がでてきました。でも、そのような不具合(瑕疵)がある施工をした業者にまた修繕の工事をやってもらうのは不安だから嫌です。

瑕疵を他の業者に修理してもらい、かかった費用をもともと工事を請け負った工務店に支払ってもらうことはできるのでしょうか?

もともと工事を請け負った工務店に対する損害賠償請求として、他の業者に瑕疵を修繕してもらうためにかかった費用を請求することができます。

ただし、元の工務店が損害賠償請求に応じない場合は、訴訟等の法的手続きで回収する必要性が生じるリスクがあることに注意が必要です。

請負契約の契約不適合責任(瑕疵担保責任)とは

自宅の新築工事やリフォーム工事のように、ある仕事の完成を依頼し、その仕事の完成に対して報酬を支払うということを約束した契約のことを請負契約といいます。

そして、建物の請負契約の場合、その仕事内容に不具合、すなわち、契約不適合(2020年4月1日施行の改正民法の前は「瑕疵」と呼ばれていました。)があった場合、①修補請求(履行の追完請求)、②報酬減額請求、③損害賠償請求、④契約解除ができることになっています(民法559条・562条ないし564条、415条、541条・542条)。

瑕疵修補請求とは

瑕疵修補請求権(現行民法では履行の追完請求権)とは、文字通り、請負人に対して瑕疵を修補するよう請求する権利です。

つまり、工事内容で不具合(瑕疵)があった部分について修繕を求めることができる権利ということになります。

したがって、工事に不具合があった場合、その工事を依頼した工務店に対して、修繕を求めることができます。通常は、まずこの瑕疵修補請求によって工事の是正を求めるのが一般的です。

なお、どのような場合が法律上の「瑕疵」に該当するのかというと、判例は「瑕疵」とは、取引において一般的に要求される水準で「通常有すべき品質・性能を欠いている」場合だけでなく、契約の際に契約当事者の間で予定されていた性質を欠いている場合も「瑕疵」に該当すると判断しています。

したがって、例えば、法律上は250mm×250mmの鉄骨で足りるところ、300mm×300mmの鉄骨を用いて建設をするという契約をしていたときに、請負人が、250mm×250mmの鉄骨を用いて建設をしてしまった場合にも、「瑕疵」に該当するということになります。つまり、法律上は問題のない施工であるため、「通常有すべき品質・性能を欠いている」とはいえない場合であっても、契約当事者の間で予定されていた品質を欠いているとして「瑕疵」に該当することになります。

なお、2020年4月1日に施行された改正民法では、「瑕疵」という言葉が「契約不適合」という言葉に変更されました。請負人が種類または品質に関して契約内容に適合しない仕事の目的物を引き渡したときは、注文者は修補等の請求ができることとされています。そのため、修補等の請求ができるかどうかを判断するためには、契約の内容を確認することが重要です。

損害賠償請求の内容

次に、契約不適合責任の追及の方法としては、損害賠償請求権の行使もあります。なお、損害賠償請求は、契約不適合が請負人の責めに帰することができない事由によるものであるときは認められませんが(民法415条1項ただし書)、施工上の不具合については、通常、請負人に帰責事由が認められます。

この損害賠償請求権は、瑕疵修補請求権の行使に加えて行うこともできます。たとえば、リフォーム工事の内容に不具合(瑕疵)があってケガをしてしまったというような場合には、単に修繕工事を行うだけでは損害を回復することはできず、ケガをしてしまった部分に対しても治療費の請求や慰謝料の請求などの損害賠償請求を瑕疵の修補に加えて行うことができることになります。

また、この損害賠償請求権は、瑕疵の修補に代えて行うこともできます。すなわち、工事を依頼していた工務店に対して修繕工事を行うことを請求するのに代えて、他の工務店に対して修繕工事を依頼し、その工事にかかった費用を請求するということもできるということになります。

不具合(瑕疵)があった場合の解決方法としては、特に、工務店の技術に問題があったり、または時間がかかりすぎるというような問題がある場合には、瑕疵修補請求権に代えて他の業者に依頼して修繕工事を行い、損害賠償請求権を行使することに意味があるといえます。

もっとも、注意が必要なのは、一般的には工務店等の請負人は、他の業者に依頼して修繕した工事費用の請求よりも、瑕疵修補の方が任意に対応してくれるケースが多いということです。その理由は、同じ内容の修繕工事を行う場合、他の業者が行った工事代金よりも、自分の会社で行った方が利益分が乗っていないだけ工務店が負担することになる修繕費用が低額になるのが一般的だからです。

そのため、瑕疵修補に代わって損害賠償請求を行う場合には、工務店がその損害賠償請求に応じてくれるのかを確認する必要がありますし、もし、応じてくれないという場合には、訴訟等の法的手続で回収する必要性が生じることを覚悟しなければならないということになります。

損害賠償請求手続きの流れ

実際に瑕疵修補に代えて損害賠償請求を行う場合は、以下の流れで手続きを進めることが重要です。

ただちに他の業者に依頼して修繕工事を進めてしまうと、損害賠償金を回収できないおそれもあるため、注意しましょう。

(1)不具合(瑕疵)に関する証拠の確保

まずは、引き渡しを受けた物件のどこにどのような不具合(瑕疵)があるのかを特定し、その状況を撮影するなどして、証拠を確保しましょう。

契約書や見積書、建築図面などと照らし合わせて、その不具合(瑕疵)が契約に適合しないものであることを確認することも欠かせません。

後に元の工事をした工務店と交渉したり、法的手続きをとったりするためにも、契約不適合の証拠を確保しておくことが重要です。

(2)他の業者から見積もりを取る

次に、修繕工事を依頼したい業者を探して、見積もりを取りましょう。

修繕工事にかかる費用を損害賠償金として回収するためには、その工事代金が適正価格である必要があります。

1社だけに見積もりを依頼すると、相場からかけ離れた金額を提示される可能性も否定できません。そのため、複数社から見積もりを取り、平均的な金額を提示した業者を選択するとよいでしょう。

(3)元の工事をした工務店との交渉

実際に修繕工事を始める前に、必ず元の工事をした工務店と交渉しましょう。

工務店に対して、不具合(瑕疵)の証拠や他の業者が作成した見積書を示した上で、他の業者が実施する修繕工事にかかる費用を支払ってもらえるかについて、交渉するのです。

この交渉がまとまった場合は、必ず金額や支払い条件を明記した合意書を作成しましょう。

合意が得られないまま修繕工事を進めると、後から費用を回収するのが難しくなるリスクがあります。交渉がまとまらない場合や工務店が交渉に応じない場合は、速やかに法的手続きを検討しましょう。

なお、いきなり損害賠償請求訴訟を提起すると、事前に債務履行(修繕工事をすること)の催告をしなかったことが原因で、敗訴してしまうことにもなりかねません。事前に債務履行の催告が必要かどうかについては諸説ありますが、念のため、事前に催告しておく方が無難です。

具体的には、他の業者へ修繕工事を発注する前に、元の工務店に対して「相当の期間内に修繕工事をせよ」との催告をすることになります。

ただし、この催告をすると元の工務店が修繕工事の実施に応じてしまい、他の業者に修繕工事をしてもらうという目的を果たせなくなる可能性があります。催告する際の文言や、元の工務店との交渉においては、いくつか注意すべきポイントがあるため、弁護士にご相談の上で進めることをおすすめします。

(4)訴訟の提起

損害賠償金を請求するための法的手続きには、訴訟の他に、民事調停やADR(裁判外紛争解決手続)などもあります。

民事調停やADRは、中立・公平な第三者機関(裁判所の調停委員会やADR機関)を通じて、話し合いによる解決を目指す手続きです。強制的な解決を図ることはできませんが、手続きが比較的簡便であり、費用の負担も軽く、柔軟な形で解決を図ることもできます。

それに対して、訴訟は手続きが複雑で費用の負担も重くなりがちですが、判決による強制的な解決を図ることが可能です。話し合いによる解決が難しいと見込まれる場合には、訴訟の提起を検討するとよいでしょう。

訴訟を提起するには、訴状という書類を作成し、主張を裏付ける証拠とともに裁判所へ提出します。

訴訟が始まると、原告(訴えた側)と被告(訴えられた側)の双方が主張と証拠を提出し合い、争点が明確になった段階で証人尋問や当事者本人の尋問が行われ、最終的に裁判所が判決を下します。

(5)強制執行

勝訴判決が確定すると、相手方である工務店も判決内容に従い、損害賠償金を支払うことが多いです。

しかし、中には相手方が任意に支払わないケースもあります。その場合には、裁判所に強制執行を申し立て、相手方の銀行口座や売掛金などの債権、あるいは社屋などの不動産を差し押さえることで、損害賠償金の回収を図ります。

ただし、相手方が個人事業主や零細企業である場合などでは、強制執行手続きによっても十分な金額を回収できないおそれもあります。そのため、法的手続きをとる前に、相手方に差し押さえるべき財産があるかを探っておくことも重要です。

最後に

以上のように、建物の請負工事に瑕疵があった場合には、その工事を請け負った工務店に対して修繕を求めることもできれば、他の業者に依頼して修繕を行い、その費用を請求することもできることになります。

もっとも、注意が必要なのは、なかなか損害賠償請求には応じないケースが多いため、回収のために訴訟をしなければならなくなるリスクも考えた上で、瑕疵修補請求によって解決するか、それとも瑕疵修補に代わる損害賠償請求で解決するかを決断する必要があることです。

当事務所ではこのような相談を受けた場合、まずは相談者がどのような解決を望んでいるのかを確認した上で、例えば、工務店に対して瑕疵修補を求める内容証明郵便を送付して、修繕工事の内容について示談を行ったり、または、他の業者に工事を行ってもらった上で、その費用を請求する内容証明郵便を送付するなどの対応を行っていくことになります。

それでも解決しない場合には、建設工事紛争審査会などの裁判以外の紛争解決機関による調停手続の利用や、裁判所での訴訟を検討して、手続を進めていくことになります。

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